新作づくり

はじめまして。石田陽介です。
ダンスを作りはじめて、10年近くになります。
東京に活動を移してからは1年半がたち、地に足をつけて創作に励めそうになってきた、今日この頃です。

さて、先週から新作に取り掛かっています。

「新作」――つまり、「新しい」「(ダンス)作品」を作る作業のことです。当たり前ですが。
この言葉を聞く度に、何か新奇な価値観と感受性を持っていないと、出来ない活動のような気がして、途方にくれそうになります。しかし、私は、自分が何か真新しい、価値あるものを創造できるとは、全く思いません。これはあきらめや開き直りといった類のものではなく、創作の原点です。

稽古場で起こるすべての現象を捉えようと、広角に眺めていると、どこかに、必ず新しく、オリジナルで、見るものの心に突き刺さる、しかし大変捉えにくい、そんな泥の中のうなぎのような存在が潜んでいます。
それを逃さずに捉えることも難しければ、活きたままお客さんに踊り食いしていただくのも、至難の業です。
お客さんの口の中には活きのいいうなぎがいるのに、「何コレ?ごんぶと?」みたいなことを言われることだってあります。
それでも、今日はわなを仕掛けるか、手づかみでいくか、稽古場で起こるであろうことを想像せずにはいられないのです。